2018年02月18日

(前回から続く)

工場近くの郊外では、社用車の運転手のF1レーサーまがいの走行で、
後部座席で足を踏ん張り、恐怖で引き攣っていた童子と同僚であったが、
バンコク市街が近づけば、どんどんと車線は混みだして、
カーチェイス走行は物理的にできなくなってしまったのだ。

それどころか、勤労者たちの退社時間帯に差し掛かると、
バンコク市街では、歩いた方が余程早い位の渋滞に陥り、
いらつく程のノロノロ運転。それに、前日の過飲で胃が重く、
渋滞の排気ガスや埃で気分が悪くなり戻しそうになっていた。(;´Д`)


タイへは前日の夕刻にバンコクに到着したのであるが、
市街地には寄らずに、バンコクからやや離れた郊外にある
現地法人が用意してくれたホテルに直行したのである。

ホテルといっても、だだっ広いゴルフ場の中にある
平屋のぺンションが並んだような造りの代物。
童子は、ひょっとしたら、都心のシャングリラやシェラトンという
淡い期待があったのだが、流石に願いは叶わなかった。
(当たり前であるが。φ(.. ))

ホテルに着くや、迎えに来てくれた現地法人の日本人課長は、
建屋の眼前に広がる、手入れが悪くて、ぼうぼうに伸びた芝を指さして、
「叢には入らないでください。
 時たま毒蛇が出るらしいので。
 黄色と黒の斑の奴が居たら絶対に近づかないで下さい。」

((((( ;゚д゚)))おいおい、またかよ。)

実は、タイの前に滞在したマレーシアの工場は、
ジャングルに近い辺鄙な場所にあったため、
工場の日本人駐在員達からは、トイレの便槽で大蛇がトグロを巻いていただの、
期末棚卸で、資材パレットの下に、コブラが二匹死んでいるのが見つかったとか、
はたまた、工場から近い峠には、人食い虎が出るとか、
その種の情報をインプットされてビビッていたのであるが、
タイでも、またそうかいなと暗鬱たる思いに。(´・ω・`)

一旦、手荷物のスーツケースを部屋に入れて、
日本人の生産管理課長に連れられて、ホテルのレストランへ。

タイ料理で知っていたのは、トムヤンクンスープだけだったが、
食べた事もないエスニックで美味なタイ料理とビールを堪能して、
社交会話にも疲れ、旅の疲れも出たようで、部屋に戻った。

シャワーを浴びて、ガウンに着替え
よいせっ!と、ベッドに仰向けに倒れ込んだら、
あれ?天井に何かのシミのような物が3つほど。

近視の童子はサイドテーブルの眼鏡に手をのばし、
おもむろに目を凝らせば、
あいゃー。w(゚o゚)w
なんと、ヤモリではないか。それも3匹の家族らしき集団。

浴室のバスタオルを棒状に丸めて叩き落そうと思いきや、
隠れ博愛主義者である童子の心に去来したのは、
「殺生はあかん。」と、幼少期に諭された今は亡き祖母の言葉。

ポトリと落ちてくるのだけは気色が悪くて心配だが、
先方は、童子に敵意は無いようで、特段危害を加えて来る様子はない。
国籍は違えど何かの縁、一夜を共に過ごそうではないか。
と、無理矢理おおらかな気持ちで早く眠りに着こうとした。

が、その時。
ベッドの下で、何かがゴソッと動くような気配を感じたのである。
スワッ!エイリアンか?そんなことはないな。
この建物も古いし、たぶん鼠でも出るのかな?
 

いや、待てよ。ひょっとして、黄色と黒の・・・。(; ̄Д ̄)
あわてて飛び起きた童子は、恐る恐る
ベッドの下を覗き込もうとしたが、暗くて怖くて引き下がった。

見れば、非常用の懐中電灯があるではないか、
万一を考えベッドから遠く離れて、下の空間を照らし出したが、
角度的に奥の方までは、よく見渡せなかった。

童子は、思案しあぐねました。φ(.. )
日本人の課長はもう帰っちゃったし、
臆病な同僚に言ったって役に立たないし、(人の事は言えないが)
落ち着きを取り戻そうと、冷蔵庫の扉を空けてビールを呷った。
食事どきに結構飲んだので、さらに酔いがまわる。

仕方ない。
フロントに電話して従業員を呼ぼう。
ものの数分で、見るからにアジア系おばちゃんメイドがやってきた。

タイ語で何か話しかけてくるのだが、童子はタイ語は皆目話せないので、
片言の中学英語を総動員して身振り手振り伝えたのだが、
メイドも(童子の)英語は理解できない様子であった。

童子は、持っていた懐中電灯をメイドに渡して、
ベッドから遠く離れた距離から、ベッド下を指さす。
メイドは、何のためらいもなく、ベッドの下を覗きこんで、
電灯を何度か照らしていたが、大した確認もせずに、
「No problem.」
と流暢な英語を言い残して、スタコラ帰ってしまった。(T_T)


取り残された童子は、寝ないわけにもいかず、
やむなく、ベッドのシーツを春巻の皮の如く、体にぐるぐると巻いて、
何者かが侵入してくる隙間がないように蓑虫のような体勢を作り上げ、
マレーシアで土産用に買ったカンパリをスーツケースから取り出して、
ベッド下の恐怖から逃れようと、ラッパ呑みするのでありました。(´・ω・`)

(続く)

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この記事へのコメント

1. Posted by baron   2018年06月01日 13:30
ひたすら、面白い!!

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