2016年10月27日

先週の日曜日の事。
とある田舎町の道路沿いで見かけた光景。

時刻は、午後4時半を少し回ったあたり。
一車線しかない国道の、やたら狭い歩道を、
ふらつきながら歩いている男の後ろ姿。

足元は素足で踵の擦り減ったサンダル。
風体は、ホームレスとまでは行かないまでも、
おそらくそのまま寝てる様子のよれよれの衣服。

見れば、大事そうに片手にビニール袋ひとつ。
中には1.8ℓの紙パック入りの安酒(多分)1本だけ。

年の頃、40後半から50歳前後の中年男。
よろけながらも、前かがみで家路を急ぐ姿。
近くの常連の酒屋から自宅に戻るのであろう。

住居は、おそらく家賃4万円以下の安アパート。
勿論、家族とは離散していて”悠悠”の一人住まい。
30m2もない1DKの畳間には、布団が敷きっぱなし。
1年中、電気炬燵の台が、その布団の上に。

狭い台所のシンクには、洗ってない食器や鍋が、
手が付けられない程、うず高く積みあがっている。
その下には、もう何日も前から回収に出してない
既に臭気を放つゴミ袋があふれるほど。

・・・・


通り過ぎる車の助手席から一瞥した光景であり、
酒パック片手の後ろ姿しか見えてないのだが、
童子は、過去の我が身の記憶がフラッシュバックして、
超能力透視者の如く、勝手に男の状況を推測するのでした。( ・Д・)

たぶん、今しがた目覚めたばかりであろう。
昨日も、しこたま飲んでおり、朝酒をやってまた寝込んだ。
そうすれば、だいたい夕刻の此の時間に目覚めるものだ。
そして、濁った頭に湧いて来るのは、再び飲酒の渇望感。

家の中に散らばった酒瓶や紙パック達は、
悉く空っぽの腑抜けになっていて、
仕方なく、また新しい酒を買い出しに行く。
そういうサイクルが綿綿と続いてゆく。

連酒の揚句、日曜日の夕刻の早い時間から、
再び酔い潰れるまで飲み始める訳だから、
月曜日の朝に、まともに起きられる筈がない。

起きたとしても、どえらい二日酔いの具合の悪さを克服するには、
朝酒という妙薬しかないのである。
仕事に付いていれば、嘘空の用件を考え出しては、
勇気を振り絞って仕事休みの連絡をするだけである。

休みの連絡さえ仕事先の同僚か部下(上司でなく)に入れておけば、
後はアルコール依存の輩の晴れての天下なのである。
趣くままに、また1日、たっぷりと飲めるのだ。

こういうサイクルが断ち切れなくなった時が、
まさに、『連続飲酒発作』の入り口なのである。
もう、絶対に自分の力では這い出せない蟻地獄。Σ(´д`;)


過去の数々の事件や事故を、
断酒ブログの遅筆により忘れかけていたのであるが、
この路上の男の光景がトリガーとなって、
連続飲酒発作時期の何故か至福にも映る情景を、
半分懐かしげに、半分は自省的に、次々に思い出していた。φ(.. )


しかし、もうあの道へは戻れない。
甘美な陶酔へ誘う囁きが、脳裏の奥底から聞こえてくることもあるが、
誘いに乗れば待つのは確実に死への道。
いや、まだまだ屈服はできないのである。(・◇・)ゞ

淋し気な男の後ろ姿を追い抜いた車の助手席で、
哀愁を覚えた数十秒間の回想録でありました。(´・ω・`)

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ctxt0475ctxt0475 at 08:02│コメント(15)トラックバック(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by てつお   2016年10月27日 23:10
こんにちは。
ある意味、フラッシュバック的な現象なんでしょうね。
自分の意思でコントロール出来なくなるような物には手を出さないのが良いのでしょうね。
そもそも規則的に休肝日を設けて飲酒なんて出来るのかな。
マズイ、マズイ(^^;
2. Posted by 酒呑童子   2016年10月29日 22:30
てつおさん
こんばんわ。
拙者も若かりし頃、
休肝日を設けた節酒、何度もやりました。
何度やっても、1-2週間と続きませんでした。
そもそも、アル症になる人は、
意志の問題にかかわらず罹患するのですから、
どだい節酒などというのは虫の良い話。
今の科学では、悲しいけど断酒しかないですね。


3. Posted by でるでる   2016年10月30日 16:17
童子様いつも楽しく拝見させていただきありがとうございます 断酒4カ月でご報告をと思ったのですが心落ち着かずコメントさせていただきます どうにか断酒は続いていますが生涯飲めないと考えると苦し過ぎます 飲んでも飲まなくてもお先真っ暗と前回お言葉いただきまさにその通りと思えて仕方ありません 飲んでいた頃は自殺願望とても強かったですが今の苦しい状況続くならいっそ死んでしまいたいと思うくらいです 苦しさを伴わない方法がなく実行できませんが現実に死にたいとばかり思っています 自己中心的にしか考えられず子供のことなどに意識が回ってない有り様であるからとは重々承知しております しかし‥今回の記事のように今までの築いた人生を捨て飲酒を選択しボロ布のように生きて死んでいった方がマシと思えてきます 家族いなければ間違いなくそちらを選択しているなと思う毎日です 家族が自分を捨ててくれたらと身勝手な考えも出ております どうにも辛く絶望的でありコメントさせていただきました 何かアドバイスもしくは引導を渡していただければ幸いです
4. Posted by でるでる   2016年10月30日 16:24
追記 期限を設けて断酒ならばまだしも生涯断酒とは絶望的になります 下の子が小学入学までと思ったこともありますが自己中心的でどうしようもありません 生きたくても生きられない人がいる中身勝手な考えに囚われますがどうにも死にたい毎日です 何か提言いただければ幸いです
5. Posted by 酒呑童子   2016年10月31日 18:29
でるでるさん
こんばんわ。

”飲んでも飲まなくても、お先真っ暗”
という言葉は、行きがかり上、使ったものの、
ちょっと言い過ぎで、誤解されましたね。

飲めば、「お先真っ暗」は、その通りです。
しかし、まずは1年、もしくは、
下の子が小学校まで頑張ってみましょう。
その後、飲みたければ飲んだら良いのです。
不思議と飲みたさは減退してきます。
人生における酒の価値観が変わってきます。

でるでるさん。
3ヵ月も断酒して、いまだに飲めなければ死にたいなどとは、
貴殿に憑りついている酒霊は結構手ごわそうですね。
今が頑張り時です。
くじけない事です。
必ず勝てます。

私も、ようやく、「お先真っ暗」ではない
酒の無い人生を見つけたのですから。





6. Posted by めたぼ侍   2016年11月01日 21:46
今日10数年来掃除もしたことなかったベッドの下を掃除しました。出てくる出てくるブラックニッカ、いいちこの小瓶、、、。たぶん連続飲酒中にコンビニで買い込んだ小瓶でしょうね。
それにしても酒呑童子さんの流れるような文体に引き擦り込まれました。一枚の絵で全て説明できるような素晴らしい感性のお持ちですね。応援していきますね。
7. Posted by でるでる   2016年11月02日 10:22
童子様ありがとうございます 酒霊に取り憑かれたままです かわらず死にたいとばかり思いますが吊ると苦しいです 思い切りましたがベルトのバックル壊れ未遂‥梱包用のビニール紐を三つ編みして準備だけはしました 死ぬならその前に思う存分飲もうと思いますが飲めません 子供たちに謝罪の念で一杯です 1日断酒続けます また苦しくなった時などコメントさせていただければ幸いです 支離滅裂なコメント 都合よくてすみません
8. Posted by 酒呑童子   2016年11月02日 11:51
めたぼ侍さん
おはようございます。
ブラックニッカ、いいちこ・・・懐かしいですね。
私も、ありとあらゆる酒を飲んだものです。
特に、いいちこには殊のほか貢献したのですが、
三和酒類(株)からは、何の御礼もありません。(笑)
しかし、十年来の断捨離とは凄いですね。
私も身の回りを整理して気分を一新する事を、
先月から心掛けております。
9. Posted by 酒呑童子   2016年11月02日 12:02
でるでるさん
無茶な事は止めましょう。
死んでも、あの世で後悔しますよ。
五体満足なら何だってできます。
子供さんが大きくなるまでは、
歯を喰いしばって断酒継続して見て下さい。
必ずや光が射してくる筈です。
10. Posted by 野の百合   2016年11月03日 07:45
こんにちは。
まるで、映画のワンシーンを見るようです。

よく、あそこから生還したものだと、思います。

童子さんではなく、私が…

生きていれば、いいことが必ずある。

そう思って、ここまできました。

もうあそこへは戻れない。

同感です。
11. Posted by 中年   2016年11月03日 23:04
初めまして。断酒で二年半です。ノンアルビール多量消費
と突然甘党になり、常にアメチョコと初年度は色々ありました。私も現在、節度ある再飲酒への空想妄想はあります。しかし、「泥酔して朝?起きた時襲われるあの不安感と飲酒が泥酔し、安心感が脳を満たすまでの、破滅への恐怖」これが委縮した脳へのストッパーとなります。少年の頃、部活をさぼりだいけど、練習やり抜いた後に得る爽快感を覚えて続ける。とは、全く将来性がなくなりましたが、流石に再飲酒したらどうなるか?は理解出来ますので飲みません。
12. Posted by 酒呑童子   2016年11月07日 13:17
野の百合さん
こんにちは
全くもって戻りたくない世界です。
でも、時に、浴びるような陶酔を
思い出す瞬間が残ってるのは、
まだまだ修業が足りないのでしょうね。
六根清浄。六根清浄。。。
13. Posted by 酒呑童子   2016年11月07日 13:26
中年さん
初めまして。
何年たっても、飲めば自爆する恐怖感が、
私の場合もストッパーになっています。
そういう病気になってしまったと思い、
潔く諦めましょう。
南無三。
14. Posted by でるでる   2016年11月16日 10:08
童子様いつも楽しく拝見させていただきありがとうございます なんとか断酒4ヶ月続きました 中途面倒なコメント申し訳ありませんでした 自分の本音言える場所が童子様のブログしかありません 断酒会でもなく主治医でもなく家族の前でもなく‥ アルコールに対する意識が変わることを祈りつつとりあえず下の子が小学入学までは断酒続けたいと思います その後は機会あれば飲んでもいいと勝手に決めています 甘い意識ではありますが今はそう思わなくては今の断酒継続が困難です 日々死にたいとばかり思っていますがちょっと吊るだけで苦しくとても素面で実行することは出来ません 身長も180以上ありなかなか場所もありません 自宅の懸垂用の器具がベストですが毎晩いつ死のうかとばかり思っています 思考が矛盾していますが‥また5カ月経ったら報告させていただきたいと思います 死にたいくせにこのような中途半端なコメント本当に申し訳なく思っております 死にたいけど死ねない日々暗闇の中彷徨っております
15. Posted by 酒呑童子   2016年11月16日 11:27
でるでるさん
まずは4ヵ月の断酒。
おめでとうございます。(御目出度くもないか?(笑))
今は、断酒目標を過ぎたら飲んでも良し死んでも良し、
という思いで頑張ればよいと思います。
飲まずに生きていれば、必ず意識もそのうち変わって、
良い風も吹いて来る筈ですよ。

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