2015年10月06日

昨年の話であります。

私が、その男と初めて同じテーブルに着いたのは、マンションの管理組合の会合での事。
数回前の記事『断酒遂に破れたり』で甘酒を頂いた親切な方とは全く無関係です。
全く別の号室の住人である。

マンションの管理組合は、どこでも同じと思いますが、
定期的に組合の役員にならざるを得ず、毎年順番で回って来ます。

無視して参加もしない方もいらっしゃいますが、
根が律義な童子は、そんな無責任な事はできません。(・∀・)
管理組合の役員を1年満期ですが、引き受ける事になりました。

役員になれば、
組合長、副組合長、経理担当役員 自治会担当、防火担当、などなど。。。
どれかの任務を引き受けなければなりません。

童子は、その一月前の役員を決める総会に出席したときに、
挙手して、副組合長に率先して立候補しました。

組合長職は、いろいろな調整や交渉事で大変だと経験者から伺っていました。
かといって経理は、他人様の金を扱うので気が重い。
防火担当は、会社を休んで防火管理者か何かの講習を受ける必要がある。
自治会担当は、地元の自治会の会合やイベントなども多くて大変そう。

して、副組合長の仕事といえば、月一回のマンション点検のみと秘かに聞いておりました。
マンション共有部分と敷地の設備の点検を行い、
点検結果チェックシートを月一回管理会社に提出するだけ。
これなら、気が楽です。なので、率先して立候補。(ずるい!φ(.. ))

組合の新役職が決まった後の、その期の第一回目の会合。
新役員と前回役員の顔合わせと引き継ぎを兼ねた内容でした。
新旧全員での役員の初顔合わせの場なので、最初にまずは、自己紹介です。

副組合長の童子も新役員の2番目に、
「○○○○号室の酒呑童子(ほんとは本名)です。
 到らぬ事もあろうかと思いますが、よろしくお願いします。」
と簡単な挨拶で終わります。

欠席もあったため、全員の紹介は、できませんでしたが、
粛々と議事は進んで行きます。


そうして30分位経過した時に、その男は現れました。
開催時間をだいぶ遅れて現れた40歳くらいの大男。
のっそりと、挨拶もなく、遅刻を詫びる様子もなく、
空いている椅子を引きよせ、どったりと足組みしてのけぞった姿勢で座った。

なにやら、眼付がよろしくない。
態度も横柄そうだ。
あまり関わりになりたくないタイプである。

司会進行役の前期の組合長が、遅れて来た男に気づいて、
「△△さんがいらっしゃいましたので、議事の途中ですが、
自己紹介をお願いしましょう。」
と促しました。

その男は、形通りの挨拶をするかと思いきや、
如何にも生意気そうな風情で頭を持ち上げて、突如、
「前期の役員は、手を挙げてください。」
ときた。

一瞬、場が水を打ったような静けさに覆われ、緊張感と違和感が漂う。
皆、一体何を言い出すのだろうかと、いぶかしげながらも嫌々そうに挙手する。

男は続ける。
「前期に問題となった事は、何が解決できていませんか。
 解決できない理由を、一人づつ述べてください。」


司会をしていた、前期の組合長の顔色が変わった。Σ( ̄ロ ̄|||)
一発触発の気配も一瞬流れたが、組合長は年配らしく人格ができていた。
「その内容は、私が代表して、議事に沿って説明しますので。」


その後も、マンションの管理会社の担当者が会計の補足説明を始めると、
勘定科目ごとに、「エビデンスは、どこにあるのですか」
とか、何かにつけて、横柄な態度で噛みつく様な発言を繰り返し、
流石の鷹揚そうな担当者も、苦り切った表情にかわる。


そんなこんなで、初回の議事は、引っ掻き回されて終わりました。
男は、司会の終会の言葉もまだないというのに、
さっと席を立ち、真っ先に会場を後にしました。

残った皆は、怪訝な面持ちで居残っていましたが、
組合長は、「△△さんは、飲んで来られたら、かなわんなあ。
今度も同様なら、苦言を呈すしかないな。」と呟いた。

そのとき、ようやく男の正体が判ったのです。
童子とは席の距離が一番離れていたので、わからなかったが、
近くに居た組合長なんかは、酒臭かったのであろう。

会議の場だけではなく、酒で以前から問題を起こしているのを、
帰り道に一緒になった他の役員さんから聞きました。

次回からの会合に出席する事を、重荷に感じて躊躇う気持ちを、
童子だけではなく、他の新役員も皆、抱いた筈ですが、
幸いかな、その後の会合に、男は二度と出席する事はありませんでした。


それどころか、男の家庭で騒動があり、家族か親族の通報で、
パトカーが2回ほど駆け付けたのを小耳に挟みました。

暫くして、奥さんと小学生の子供逹が、家を出ていったことを、
管理組合の会合の場で、他の組合役員から聞きました。

そして、一人残っていたその男も、いつの間にか居なくなり、
気がついたら、その号室は不動産会社に売却に出されておりました。

当時は、童子は既に断酒の域にはいっておりましたが、
何やら過去の自分の生き様をフラッシュバックしたような気もして、

「嗚呼、酒害とは何物をも破壊しつくすものよのお。」

と、自らの胸に手を当てて、アーメンと空を仰ぐのでありました。(´・ω・`)


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この記事へのコメント

1. Posted by 匿名   2015年10月06日 23:02
いつも楽しく拝読させていただいております。

身に沁みる記事・・・いつもありがとうございます。
2. Posted by 通りすがり   2015年10月07日 11:32
「苦言を呈す」の使い方を間違っていらっしゃいます。
意味は「忠告をする、特に、言われたことは余りいい気はしないだろうと思われるような内容のアドバイスや注意などを行うこと。」であり、
苦言の対象者がその場にいない場合には使えない表現です。
3. Posted by 酒呑童子   2015年10月07日 22:19
匿名さん
こんばんわ。

私と同様、身に沁みる口なんですか。
認知症になるまで、フラッシュバックするのか。
などと、考えると憂鬱になりますね。
しかし、身から出た錆。耐えるしかありませんね。
4. Posted by 酒呑童子   2015年10月07日 22:30
通りすがりさん

丁寧な御指摘。ありがとうございます。
確かに、読み直すと、おかしな言い回しになってました。
本文、修正いたしました。
今後とも、校正を、お願いいたします。
5. Posted by 豆大福   2015年10月08日 22:10
私も約25年前、似た事を経験しております。
当時私は、マンションの理事長。
(くじ引きで負けた為、就任。)

隣人と騒音トラブル常習のおっさんがいてました。

ある晩激高したそのおっさんが我が家へやって来て、隣人への苦情を喚きたてる。

「良い加減にせい!」
一喝した私の胸倉を掴み暴れ出すおっさん。

なんとかナダメ、そのおっさんの家へ行き話を聞き、事を収めましたが、そのおっさんは、その後、家庭崩壊・離婚・お家売却となりました。

無論そのおっさんは、我が家へ怒鳴り込んできた時、酒の匂いぷんぷん、正しく酒乱そのものなのでありました。
(-_-;)
6. Posted by 酒呑童子   2015年10月09日 16:48
豆大福さん
こんにちわ。

実は、ブログ記事には書きませんでしたが、
その男も、妻子が出て行った後も、一層酒浸りで、
上の部屋の住人の騒音が気になるといって、
何回も怒鳴り込んだり、管理組合にもクレームを入れたりで、
組合長は大変だったようです。
上の階の部屋は、老夫婦2人だけで、
騒音などするはずも無かったとの事です。
アルコール依存末期の空耳だったのでしょうね。

いやはや。。。

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