2013年10月05日
今までの記事で酔っ払い事故の何件かは御紹介しているが、
酩酊ではないが二日酔いの朦朧とした意識下でのミスが原因で死にかけた事がある。
前回の記事「青春時代の飲酒6」の時期である。たぶん、30歳過ぎくらいの時。
ある土曜日朝の出来事です。
当然の事ながら、金曜日は仕事が終わるや否や、
同僚達と梅田界隈に繰り出しガンガンに飲んでいました。
(阪急東通り商店街の猥雑な雰囲気は、懐かしいですね。今はどうなのかな?)
次の朝、二日酔いのフラフラの状態であったが、担当顧客のビルに出勤する。
当時の童子が入社した会社は、とある希少なマシンを扱っていた。
童子が担当する顧客は、このマシンを地下の頑強な隔離された区画に設置していた。
マシンのメンテナンスを行うのは、土日祝の休みにしかできない。
通常は複数の人員で行うのであるが、その日はメンテ内容が簡単なので童子一人での勤務となっていた。
顧客は出勤していない。童子がマシン室の鍵は顧客から金曜日に預かっている。
そのビルは守衛所を通過せずとも、地下に喫茶店があるので、ビル脇の階段から降りて、
喫茶店の横を奥に進めばマシン室に辿り着ける。
ただ、大阪北浜のオフィス街なので土曜日は通行人も疎らで喫茶店はお休みである。
一旦、マシン室に入り作業を始める。
頭は朦朧としていたが、遣り慣れた作業なので勝手に手が動く。2時間程度で作業は終了する。
一段落すると、二日酔いの脱水症状で水分を補給し過ぎたのか、急に尿意を催して来ました。
喫茶店脇のトイレに向かおうと、マシン室の内ドアを開き、靴脱ぎ場に出ました。
機密上の問題とマシンの稼動環境を考慮して、この顧客のマシン室は、
入口が二重ドアの構造になっており、外ドアは鍵、内ドアは磁気カードで開く。
内ドアと外ドアの間には、1.2-1.3m四方の靴脱ぎ場があるのだ。
靴脱ぎ場に出て、外ドアを開けようとした。鍵が掛かって開かない。
「あっ!鍵をマシンの上に置き忘れた。」このドアは特殊で中からも鍵が要るのだ。
取りに戻ろうと、自動ロックで閉まった内ドア用の磁気カードを胸ポケットから取り出そうとした。
「無い!(((( ;゚д゚))) ・・・あっ!こいつも置き忘れた。」
「ありゃー! Σ(=゚ω゚=;) って事は、閉じ込められたって事かぁー」
と、ようやく二日酔いの頭にも重大な事態が把握できた。
内扉外扉とも分厚い鋼鉄で作られており、靴脱ぎ場は気密度の極めて高い密室となっている。
インタホンがあるが、これはマシン室内との通話であり今日は童子しかいないから意味をなさない。
頑強な外ドアを叩いて見たが、店(それも1軒)の閉まった北浜オフィス街の地下など誰も土日にいる筈もない。
「よわったなあ。(´;ω;`)」
その場に胡坐をかいて座り込み、朦朧とした脳みそに思考を巡らす。
「守衛が地下まで巡回に来るはずはないな。
となると、月曜日の朝、顧客が出勤してくるまで、この場に居続けるのか。・・・」
尿意が募ってくる。そのうち、便意も来るだろう。
それよりも、この空間の狭さと、密閉性では、まずは空気の量が問題だ。
酸素不足で確実に倒れてしまう。せいぜい4-5㎥の空気しかない。
(人間は、1時間に1㎥の空気が必要らしい。ただし、排気するCO2は計算に入れず。)
糞尿を垂れ流して窒息死したみっともない姿で、月曜日の朝に発見されるのか。。。
当然、この時代、携帯電話などありません。外部と連絡する術は無いのです。
1時間くらい座り込んで考えていたが、名案など出てくる筈もない。
尿意はさらに募ってくる。あーあーと唸り、天井を見上げた。
ふと、丸い小さい皿状の物体が目に止まる。
火災報知器か?煙感知器か?たぶんどちらかだ。
童子は、高校卒業以降ずっと喫煙を続けている。ポケットを弄れば、タバコとライターが。
「あったー!よし!一か八かだ!」
タバコで空気は一気に消費し、煙で呼吸も苦しくなるだろう。
しかし、待っていては間違いなく窒息死するだろう。それに尿意も限界に来た。
立ち上がって、タバコを咥えた。
靴箱の最上部を踏み台にして、腕は壁を支えにして天井に近づく。
ライターでタバコに火を点し、煙を感知器目掛けて吐き出す。
鳴らない!駄目だ。今度は、靴箱の上にありたけのスリッパや何やらを積み重ねて、
できうる限り感知器に接近した。再び、ライターでタバコに着火し、
思い切り煙を吐き出す。1回・2回・3回。ライターの火もできるだけ近ずけた。
ジリジリジリジリ!
凄まじい音響で報知機のベルが館内に響き渡った。
数分後、守衛がドアを開けてくれた。
失禁寸前の童子は、守衛に事情を説明する余裕もなく、
トイレ目指して一目散に駆け出した。
こうして童子は一命を取り留めたのでした。(*´∇`*)
めでたし、めでたし。
ではあるが、この時の体験と、幼少期に道路下の細い土管に這いずり込んで遊んでて
抜け出られなくなった記憶が重なり合って、二つの光景を交互に思い出すたびに、
今でも”閉所に閉じ込められた恐怖感”が脳裏を過ぎり、身震いが走るのである。
おそらくは、素面でアポロ13号でも乗っていたら(乗るわけないか。。。)
須らく閉所恐怖症で発狂していたであろう。間違いない。(T_T)
ともかく、飲酒癖で危機を招いたものの、喫煙癖が幸いして命拾いしたのである。
あの時、ライターを持っていなかったら。。。。。(・∀・;
それ以降、必ず煙草とライターは持ち歩いている。
何かの時にサバイバルできるやも知れぬ、と信じつつ。
(単なる禁煙できない言い訳けかな~(⌒∇⌒))
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この記事へのコメント
お腹抱えて笑いました
通常誰も経験しないような童子様の輝かしい失敗の数々 勇気を頂いています
で 童子様 今断酒を継続されていて
飲まない心境や やめて良かったお話なんかも教えて下さい
私も 童子様のブログに支えられながら
断酒を継続して行きます
これからも楽しみに読んでポチッとしますので(^O^☆♪
今回の話しはハラハラしました。
二日酔いじゃなくても、閉じ込められる事はありそうですよね。
タバコは吸わないので持ち歩きできませんが、ライターは使えるかもしれませんね。持ち歩こうかな。
童子さんのブログは本当に役立ちますね。
私も、ライターを持ち歩くことにします(笑)。
火災報知器の思わぬ利用法は、目から鱗でした。童子さんのサバイバル術に脱帽です!
きっと、童子さんは、MRなどは利用できませんよね?
以前、私の義弟(偉丈夫です~)が、検査でMRに入って、
泣き叫んで、出してもらったことを思い出しました。
おひさしぶりです。
今だから、面白おかしく言えるのですよ~( ̄▽ ̄;)
なんとか生きながらえたから、
おもしろおかしくも語れるのですよ。
その局面では極限的パニック状態ですね。
>飲まない心境や やめて良かったお話なんかも
またブログにも書きますね。
こんばんわ。
ちなみに、今ホテルですが、
出張には必ずアーミーナイフ(所謂、十徳)も携行してます。
生き延びるには、様々なツールが必要ですね。
素手では、なかなか難しい。(^-^)v
今晩はです。
閉所恐怖症は冗談ではないのですが、状況によります。
MRIは受診した事はありますが、なんともありませんでした。
閉所に閉じ込められて、そのまま死を迎えざるを得ないような
状況を想像した時に、身震いするような恐怖感が湧き上がるのです。
死に至るまでに、絶対に発狂する自信がありますね。( ̄○ ̄;)!
怖い。怖い。
何て面白いんでしょう
でもよかったーー
私も閉所恐怖症だから、
読みながら軽い息苦しさを覚えました(^_^;)
こんにちは。
ちょっと前に、タイの洞窟でサッカー少年達が、
閉じ込められて、全員救助された事件がありましたが、
私ならば、完全に発狂していた筈です。
想像するだけでも、頭がオカシクなりそうで。。。
こればっかしは、どうしようもありません。