2019年01月30日


先週のやたらと寒い日の事。
東京のとある所に藪用があり、最寄りの地下鉄の駅を降りた。
改札から続く驚くほど急で細い古びた階段を登り地上に出た途端、
木枯らしが吹きすさび、あわててコートの襟を立てた。
地球温暖化とはいえ、やはりもうすぐ2月。寒くなったもんだ。

首都高速の高架下に交差した恰好で架かっている
片道2車線の広い何たら大橋を足早に渡ろうとしていた。
隅田川を下って来る突風に首をすくめて前方を見れば、
橋の中央の歩道脇に、何やらボロきれのような物体が。

近づいて見れば、この寒い空の下、
ホームレスのおじさんが就寝中ではないか。
数ヶ月前から何度も見かけた同一人物だろう。

顔の皺の具合(黒くてよく判別できないが)、白髪交じりの髭から、
推測する年齢は50歳後半から60歳前半だろうか。
大柄な体躯で恰幅が良く、肉付きも良さそうである。

どうやって生計を立ててるのかは不明である。
アルミ缶やダンボールとか多少の銭になる収集を
臨時の生業としているようにも見受けられない。
幾許かの内部留保を切り崩しているのだろうか。。。

広い歩道の一角に畳一畳半程度の段ボールの敷布団。
掛け布団はなく分厚いダボダボのコートの様なものだけ。
見るだけで、こちらが風邪を引きそうな出で立ちだ。

家財道具らしく物も、ほとんど所持してはいない。
魚の缶詰らしき物が十個ばかし丁寧に並べてある。
ペットボトルが2本。それにウイスキーのような瓶が1本。

多分、ブレンドってやつかな。
以前、テレビで放映していたホームレスの特集番組を思いだしたのだ。
ある登場人物の話では、繁華街の裏通りで高級クラブの排出ゴミから、
XOやバランタインやカクテルベースなんかを見つけ出して、
底に残っている数mlからの液体を掻き集めると結構な量になり、
しかも、ブランデー、ウイスキー、ウオッカ、ジン、ラム、テキーラ
など世界中のリキュールが混ざって絶妙な味になるらしい。
その番組の人物は自慢げに、「最高のブレンドじゃ!」と言っていた。(=゚ω゚=;)

おじさん、ブレンド飲んで、まだがんばってたのか。
風邪引くなよと秘かに呟いて、5mほど通り過ぎたところ、
路上にB5版位の冊子が放置されてあった。


数十ページの冊子が、うまい具合に橋のコンクリートに張り付いて、
パラパラと紙芝居風に頁がめくれて何度もリピートしているのだ。

なんの冊子なのか、多少の興味がでて覗き見れば、
左肩に、『路上脱出』という文字が目に入った。
なんのこっちゃ。そして、その下には大きな字体で、
『生活SОSガイド』。。。

あっ。ひょっとして。
そうか、こんな冊子がホームレスの人向けに出版されているのか。
知らなかった。
しばらく立ち止まり、ぱらぱらと風でめくれる冊子を垣間見てたのである。


どこかのボランテア団体のメンバーが置いて行ったのであろう。
しかし、ホームレスのおじさんは目を通したのであろうか。
いや、そんな形跡はない。
大事なものと感じたら、敷布団がわりの段ボールの下にでも保存したであろう。

たぶん、パラパラと目を通しただけか、
それとも表紙を一瞥しただけで、
「えいや!こんなもの。よけいなお世話だ!」
なんて呟いて投げ捨てたような気がする。
あくまで、童子の推測の域だが、そうは外れてないような。。。φ(.. )


そういえば、童子も路上生活までの経験はないにしても、
臨時の路上生活(泥酔での路上就寝)は幾度とあるなと、
思い出せば何十シーンも走馬灯のように流れて行くのだ。(´・ω・`)

歌舞伎町の新宿コマ近くの広場の路肩で、
警察官に朝起こされて目覚めたたら、靴がなくなってたとか、
上野公園の花見で酔いつぶれ皆と逸れたあげく、
近くのベンチで寝てて、財布を抜かれてたとか。

大体、五体満足で目覚めることは皆無で、
しかも、必ずや、財布やバッグやコートや靴や眼鏡など、
ありとあらゆる金目の物を山ほど亡くして参りました。

思い出すだけで、十回二十回では利かない。
一体どのくらいの損失だったのだろうか。。。φ(.. )
考えるだけで自己嫌悪に陥って寝込みそうだ。

まあ。幸い命だけは失わなかったので、良しとしとこうか。。。
と無理やり自分を納得させて、木枯らしの街を過ぎ去るのであった。


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